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COLUMN

2019.05.23税務コンサルのポイント

使途秘匿金に対する追加課税

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 法人税

(間違えやすい事例)

○使途秘匿金に係る追加法人税額について、別表1(1)の「10」欄(法人税額計)の外番として記載していないもの。


○資産計上していたものを使途秘匿金として否認した場合、資産否認すべきであるのに、これを行っていないもの。


○期末に未払計上されている使途秘匿金について、支出年度でなく未払の年度で使途秘匿金の迫加課税を行っているもの。


○別表4において使途不明金等の加算があるのに、使途秘匿税額の計算の要否を検討していないもの。


○法人税の欠損金繰戻し還付を行うとき、原則として地方法人税についても還付処理を行わなければならないが、法人税の還付処理のみ行っているもの(地方法人税法23①)。



(解説)
 法人が、平成20年4月30日以後に使途秘匿金を支出した場合には、各事業年度の所得に対する法人税の額は、通常の法人税の額に当該使途秘匿金の支出の額の千円未満の端数を切り捨てたものの40%相当額を加算した金額となります(措法62、通法118①)。
 平成26年度3月税制改正により、地方法人税制度が創設されました。
(1)納税義務者

法人税を納める義務がある法人は、地方法人税を納める義務があります(地方法人税法4)。

(2)課税事業年度

課税事業年度とは、法人の各事業年度をいいます(地方法人税法7)。

(3)課税標準

地方法人税の課税標準は、各課税事業年度の課税標準法人税額とされており、各課税事業年度の課税標準法人税額は、各課税事業年度の基準法人税額となります(地方法人税法9)。
基準法人税額は、次の算式により計算した金額となります(地方法人税法6)
(算式):基準法人税額=別表1(1)「4」欄+「5」欄+「7」欄+「9」欄+「10」欄の外書

(4)税率

4.4%(地方法人税法10)。

(5)税額の計算

イ地方法人税の額
地方法人税の額は、次の算式により計算した金額となります(地方法人税法10)。
(算式):地方法人税の額=課税標準法人税額×4.4%


(注)外国税額の控除

○内国法人(申告書別表6(2))

内国法人が各課税事業年度の法人税について、外国税額控除の適用を受ける場合において、控除対象外国法人税の額が法人税の控除限度額を超えるときは、当該課税事業年度の国外所得に対応する地方法人税の額を限度として、その超える金額は、当該課税事業年度の地方法人税の額から控除することになります(地方法人税法12①、地方法人税法令3)。

○仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税の控除

内国法人の各課税事業年度開始の日前に開始した課税事業年度の地方法人税について税務署長が更正をした場合において、その更正について地方法人税29条第1項(仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税の還付の特例)の規定の適用があったときは、その更正に係る同項に規定する仮装経理地方法人税額は、その更正の日以後に終了する各課税事業年度の地方法人税の額から控除することになります(地方法人税法13)。
税額控除の順序は下記のとおりです。



○上記「外国税額控除」及び「仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税の控除」による控除については、まず外国税額の控除をした後において、仮装経理に基づく過大申告の場合の更正に伴う地方法人税額の控除をすることになります(地方法人税法14)。

なお参考として、

○平成28年度税制改正により、平成29年4月1日以後に開始する課税事業年度においては、地方法人税の税率は10.3%とされました(地方法人税法10①)。

○平成28年11月税制改正により、地方法人税の税率の10.3%への引上げの実施時期が、平成31年10月1日以後に開始する課税事業年度とされました(平成28年改正法附則1)。

 があります。
 

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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。