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COLUMN

2019.04.22税務情報

賃上げ等の促進に係る税制について

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 一定以上の賃上げを行った場合に税額控除が受けられる所得拡大促進税制について、大企業においては国内設備投資が要件となる「賃上げ・生産性向上のための税制」に改組され、中小企業者等においては要件が緩和されております。どちらも、人材投資に積極的に取り組む企業については、上乗せ措置があります。対象年度は、2018年4月1日から2021年3月31日までの間に開始する各事業年度となります。

■大企業向け「賃上げ・生産性向上のための税制」のポイント
 資本金の額1億円超など、大企業に該当する青色申告法人は、給与総額の前年度からの増加額の15%(法人税額の20%が上限)について、法人税額の控除を受けることができます。また、この制度の適用を受ける場合には地方法人税の納税額の減少効果と、事業税外形標準課税・報酬給与額の減少効果があります。
 また、教育訓練費が過去2年平均比で20%以上増加している場合は、上乗せ措置の適用により給与等支給額の前年度からの増加額の20%(法人税額の20%が上限)について、法人税額の控除を受けることができます。


※大企業とは:資本金の額又は出資金の額が1億円を超える法人(みなし大企業、大企業なみ所得法人(2019年4月1日以降)を含みます。)又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人を超える法人などの一定要件に該当する法人をいいます。



■中小企業者等向け「所得拡大促進税制」のポイント
 資本金の額1億円以下など、中小企業者等に該当する青色申告法人については、設備投資要件を充足しない場合であっても給与総額の前年度からの増加額の15%(法人税額の20%が上限)について、法人税額の控除を受けることができます。また、この制度の適用を受ける場合には地方法人税の納税額の減少効果と、住民税法人税割の納税額の減少効果があります。
 また、継続雇用者給与等支給額が前年度比で2.5%以上増加し、かつ、教育訓練費が前年度比で10%以上増加しているか、経営力向上計画を提出して適用年度の終了の日までに認定を受け、申告までに経営力向上報告書を提出して証明がされている場合は、上乗せ措置の適用により給与等支給額の前年度からの増加額の25%(法人税額の20%が上限)について、法人税額の控除を受けることができます。


※中小企業者等とは:資本金の額又は出資金の額が1億円以下の法人(みなし大企業、大企業なみ所得法人(2019年4月1日以降)を除きます。)又は資本若しくは出資を有しない法人のうち常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人などの一定要件に該当する法人をいいます。




Q&A
Q1. 継続雇用者の定義について税制改正があったとのことですが、具体的な集計対象者を教えて下さい。
A1. 2018年3月31日以前開始事業年度までは、適用年度と前年度にそれぞれ1回以上給与等の支給がある一定の国内雇用者が集計対象者でした。2018年4月1日以降開始事業年度からは、適用年度と前年度の全ての月分に給与等の支給を受けた一定の国内雇用者が集計対象者となります。なお、旧制度で算定していた一人当たりの平均給与額の算出は不要となります。

Q2. 出向者がおり給与負担金を受領しているのですが、留意すべきことはありますか。
A2. 給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額は、雇用者給与等支給額から控除する必要がありますので、出向元法人が出向先法人から支払を受けた給与負担金は、集計対象となる給与総額から除外されます。また、出向先法人は、賃金台帳に出向受入者と給与負担金額の記載をすることで集計対象となる給与総額に含めることが可能となります。

Q3. 国内設備投資額と当期償却費総額の詳細を教えて下さい。
A3. 国内設備投資額は、適用年度末までに取得等をした国内資産で、有形・無形固定資産が該当することとなり、棚卸資産、有価証券、繰延資産、土地、建設仮勘定は除かれます。
 当期償却費総額は、国内外の全ての減価償却資産について適用年度において会計上で費用計上をした金額となり除却損・減損損失も原則として含まれますが、継続して集計対象から除外することとしている場合は含めないことが認められます。なお、過年度に発生した税務上の減価償却超過額に係る適用年度の認容額は、当期償却費総額から除かれております。

Q4. 国内設備投資額には、中古資産やリース資産、設備の修繕等の費用も含まれますか。
A4. 中古資産や売買とされるリース資産は、国内設備投資額に含まれます。また、既に有する資産の修理・改善等のために行った支出のうち、資本的支出に該当するものは国内設備投資額に含まれます。

Q5. 教育訓練費とはどのような費用が該当するか教えて下さい。
A5. 教育訓練費は、国内雇用者(役員等の一定の者を除きます。)の職務に必要な技術又は知識を習得・向上させるために支出する費用で、外部講師等に支払う報酬等、研修施設・備品・コンテンツ等の使用料、研修委託費や外部研修参加費が該当致します。ただし、自社社員の人件費、研修受講者の旅費・宿泊費、教材のみの購入費、自社内の教材作成費や自社会議室の賃料相当額は除かれます。



※本記事は、アクタス税理士法人より掲載許可をいただき、同ホームページにて公開されている記事を転載したものです。
https://www.actus.co.jp/library/knowledge/list.shtml

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