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COLUMN

2019.04.18税務コンサルのポイント

役員給与の税務処理におけるチェックポイント(1)

  • 富裕層コンサルのイロハ
  • 役員給与

今回から、「富裕層コンサル プロフェッショナルへの道」と「資産税の落とし穴」の2つの連載を統合し、新しく「富裕層コンサルのイロハ」という連載として掲載していきます。これまでの記事もそのまま残しておりますので、どうぞ引き続きお楽しみください。


 役員給与の税務処理について、間違えやすい事例を紹介します。

1 定期同額給与
(間違えやすい事例)

○出向先法人で役員となっている者に対する職務執行の対価を給与負担金として出向元法人に支私っている場合には、出向先法人から出向元法人への支払形態によって定期同額給与かどうかを判断するにもかかわらず、改正前の取扱いと同様に、出向元法人から出向者に対する支払方法を勘案して判定しているもの(基通9-2-46)。


○使用人兼務役員に対する使用人職務分給与は、定期同額であるかどうかの判定を要しないにもかかわらず、その判定を行っているもの(法34①)。

(注)なお、委員会設置会社の取締役は、当該委員会設置会社の支配人その他の使用人を兼ねることができないことに留意します(会社法331④)。


○期中に役員の分掌変更等の臨時改定事由が生じたことにより役員給与額の改定を行った場合に、その改定が事業年度開始の日から3月以内に行われていないことをもって損金不算入としているもの(令69①一ロ)。


★○専務取締役、常務取締役、監査役及びその他使用人兼務役員に該当しない役員に対する給与について、使用人分給与相当額として損金算入を認めているもの(法34①⑤、令71)。

(注)いわゆる特定役員(同族会社の役員のうち、法令71①五の要件を満たす者)は、使用人兼務役員になれない点に注意します。



2 事前確定届出給与
(間違えやすい事例)

★○職務執行期間開始の日から1月以内に支給額等の届出がされていない給与について、他の使用人と同時期に支給していること、かつ、毎期継続して支給していることのみを根拠に損金算入を認めているもの(法34①二、令69③一)。


★○過去の職務執行の対価であることが明らかである(例えば、任期満了者も支給対象としているものや前期末に引当金計上しているもの等)にもかかわらず、将来の職務執行期間の中途で支給したものとする届出書の提出による損金算入処理をそのまま認めているもの(法34①二、令69③一)。


○同族会社に該当しない法人が定期給与を支給しない役員に対して支給する事前確定給与については、その定めの内容に関する届出が不要であるにもかかわらず、届出がないことを理由に損金不算入であるとして否認しているもの(法34①二かっこ書き)。



3 利益連動給与(業績連動給与)
(間違えやすい事例)

○持株会社の子会社など、同族会社(いわゆる非同族の同族も含む)に該当する法人であるにもかかわらず、利益連動給与を損金算入の対象としているもの(法34①三)。


○事後の株主総会等で支給決議を行うもの等、事前に算定方法が確定しているものとはいえないものについては損金算入の対象とならないにもかかわらず、損金算入処理を認めているもの。



 次回は「4 過大役員給与」からお話します。


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伊藤 俊一

税理士
伊藤俊一税理士事務所 代表税理士。
1978年(昭和53年)愛知県生まれ。税理士試験5科目合格。
一橋大学大学院修士。都内コンサルティング会社にて某メガバンク案件に係る事業承継・少数株主からの株式集約(中小企業の資本政策)・相続税・地主様の土地有効活用コンサルティングは勤務時代から通算すると数百件のスキーム立案実行を経験。現在、厚生労働省ファイナンシャル・プランニング技能検定試験委員。
現在、一橋大学大学院国際企業戦略研究科博士課程(専攻:租税法)在学中。信託法学会所属。